ちょっとツッこんだ 歯のはなし

今月は、2番目の方法「マルチループ法」についてお話ししましょう。

10月号

 

 

矯正による顎関節症の治療は有効か? その2  

    

   

 顎関節症の患者さんが、顎に不具合を感じるようになる原因はさまざま。それこそ患者さんの数だけ原因が存在するといっても過言ではありません。

 「マルチループ法」は、たとえば奥の永久歯が生えてくる頃、何らかの原因でそれが生えきらず、低位咬合を起こしてしまった場合、また本来歯の生えるべきスペースが少ない場合などに有効な時があります。このとき基準となる歯は上顎の前歯です。前歯をがっちり固定し、それより奥の歯並びを動かして行くのです。

 しかし、ここで問題としなければならないのは、上の前歯二本を固定するという事です。これにより非常にデリケートな頭蓋骨の動きが阻害されてしまいます。(当院ホームページ「クラニオセイクラルバランシング」の項を参考にしていただくと良く分かると思います。人間の頭蓋骨はいくつかの骨の集合体で、それらが個々の動きをすることにより、脳がうまく機能する事を助けています。)

 この動きが適切かつ十分でないと、身体全体をコントロールする脳の働きを低下させ、その結果、身体の不調を招く可能性があります。

 そもそも、かみ合わせの面が狂っていて、かみ合わせの面を変化させる必要のある患者さんが、それほどたくさんいらっしゃるのでしょうか?その矯正後の身体のバランスは、どのように取ればいいのでしょう?

 また、上の前歯を基準に動かすのですが、その歯の位置がもともと狂っている場合、全体的に身体とのバランスの取れていない歯並びができあがると思いませんか?(前歯の位置が正しいということを確認しているか、また噛み合わせの面の上下の位置関係を決めるのは、どこを基準にしているのか。さらには歯軸の傾きなど、私には疑問な点が多く見受けられます。)

 以前、この方法を提唱された佐藤先生に、マルチループ法を行ってはいけない症例について質問した事がありますが、十分な回答を頂く事が出来ませんでした。

オステオパシーでは、顎関節症の患者さんに、前歯部をつなぐ処置はやってはいけないことだ、といわれているのですけれど。

 

来月号は、3番目の方法「ベッグ法」について
お話ししましょう。 
 

院長の吉田です。

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