ちょっとツッこんだ 歯のはなし

 今月は、歯を守る唾液・だ液の話です。

3月号

 

 

〈シリーズ・子供の歯〉 そのG 「だ液と虫歯の関係」

   

 私が子どもの頃には、多少のすり傷ならツバをつけといたらなおる。と言われたものです。そう言われると「ああ、この傷は消毒もしなくていいくらい、たいしたものではないのか。」と安心したものですが、実際このツバことだ液には抗菌作用のあることがわかっています。昔の人もあながちウソをついていたわけではないのですね。

 そればかりではありません。だ液のほとんどは水分ですが、ほんのわずかに含まれるミネラル分(カルシウムやリン酸など)は、虫歯になりかかった歯の表面を、私達の知らない間に修復しています。

 まだまだありますよ。だ液の中には、消化を助ける酵素が含まれているので、よく噛んでこの酵素と食べ物を混ぜると、胃腸への負担を軽くすることができます。もっと詳しく言うなら、よりよく食物を消化する事ができれば、栄養素を身体に無理なく吸収することだってできます。成人で一日1.5ℓほども分泌されるだ液は、それだけで歯の汚れを洗い流す作用もあるのです。

 皆さんの中には、だ液が汚いものだと思っている方もいらっしゃるでしょう。ほとんどが水分といっても、歯磨きが足りなければ匂いだってきつくなります。匂いのもとはだ液自体にあるのではなく、他のものに原因があると考えた方がよさそうですね。

 もし、このだ液が非常に減少したらどうでしょうか?

 まず、歯の表面を修復することができませんし、汚れを洗い流すことができないので、虫歯リスクが何倍にも跳ね上がるでしょう。それから、消化を助けることも難しくなるために、人によっては胃腸障害を起こしやすくなるかもしれません。しかも、だ液によって食物が飲み込みやすくなるのに(のどに詰まりそうになったら、お茶を飲むのと同じ原理です。)だ液が少なくなればなるほど、物が飲み込みにくくなるのは必至でしょう。

 更にダメ押しすると、だ液が少なくなると口の中の細菌が増加します。結果、歯槽膿漏の悪化や、口内炎を起こしやすくもなるようですね。

 一般的な食事をしていれば、(糖分が異常に多いお菓子などをたくさん食べていないこと。)3歳までは虫歯にならない、と小児科の医師も言っています。(某育児書より。正直なところ、そこまで言われたくはありませんが…。)子どもは一般的にだ液が多いので、常にこのようなだ液の作用が、歯を守っていると考えられます。

 しっかり噛むことによって、だ液の分泌が増加します。口の中の健康を守るためにも、まず噛める歯を作ることが大切ですよ。

来月は、
歯みがきギライなお子さんに育てないための
6つのキーワードについてお話ししましょう。

院長の吉田です。

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