口の中の環境は、私たちが思っている以上に過酷です。たとえば、熱い食物を食べたときにはもちろん、他の身体の部分にはないほどの高温にさらされますし、噛むと強い圧力が加わります。また、口の中にはいろいろな細菌が住んでいて、虫歯や歯槽膿漏の原因にさえなっている程です。
私たちの歯は、このような環境に生えています。そしてその為に、時々思いもよらないことがおきてしまうのです。
「口の中で電気が発生する。」なんて信じられますか?
しかし、私たちは時折、この電気を“不快な現象”として感じているのです。
クリスマスのときに食べることの多い、鳥の骨付きもも肉に、アルミホイルが巻いてありますね。皆さんの中にも、きっと何人かは肉を食べようとして、謝ってアルミホイルを噛んでしまった方がいるかもしれません。このとき歯に、強い痛みを感じたとしたら、それがこの“口の中で起きる電気”のせいなのです。
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ほとんどの金属は、唾液や食物などによってごくわずかですがイオン化(電気を帯びた粒子が溶け出すこと)します。これは、虫歯の治療のときに使われる金属も例外ではありません。とりわけ、種類の違う金属で歯のあちこちを治療している方ほど、この傾向は顕著に現れます。(アマルガム・パラジウム合金・ニッケル・金合金など。)
この現象を説明するのに、電池を例にとってみましょう。皆さんは電池の中には一定量の電気が詰められていると思っているかもしれませんが、これは誤りで、二種類のイオン化傾向の違う金属が、電解質の水溶液の中に浸されているだけなのです。 |
アルミホイルを噛むとA-Bがつながった状態になる。負電子が多い方から少ない方へ移動する時に電流が流れる。 |
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食塩水の中に、二種類の金属が浸かっていると考えてみてください。当然この中には、電気を帯びた粒がたくさんあります。そして、他の金属でこの二つの金属がつながると、はじめて電気を帯びた粒が流れ始め、電流が発生します。
これと同じように、アルミホイルを噛むことで、口の中の種類の違う金属がつなげられ、口の中で電気に流れが生まれるのです。
この現象は、唾液の質や口の中の治療の方法によって、起きやすい方とそうでない人がいます。もし、酸味の強い食物を食べていて、上下の歯が噛みあった時に痛みを感じるときがあるような方は、治療の金属のつめものを同じ種類にすると、症状がかなり軽減されるはずです。 アルミホイルを噛んだときに痛みがあった方、また、酢の物や酸味の強い果物を食べたときに違和感があるような方は、一度お近くの歯科医院に相談してはいかがでしょうか。
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