虫歯の治療を終える時、銀歯を詰めたりかぶせたりしますが、このことを補綴治療(ほてつちりょう)と言います。このような時、赤や青、または黒いカーボン紙のようなものを噛んで、高さや当たっている場所を調べた事のある人も多いのではないでしょうか。しかし、この時の高さや当たりが、治療を行う側の思い込みなどで行われている事実を知っている人は、あまりいないのが現状です。
人間の感覚は、敏感なようでいいかげんなものです。例えば、治療の為に歯を削り、噛み合わなくなったらすぐに、その当たっていない状態がいつもの正しい噛み合わせだと認識してしまうほどです。
さて、この当たらない感覚に慣れたところに、銀歯をかぶせたらどういうことが起こるでしょうか。大抵の方は「銀歯の高さが高すぎる」または、「歯と歯のくっついているところが、きつい」と感じる事でしょう。この感覚のまま銀歯の噛み合わせを調整していくと、反対側の歯とうまく噛み合っていない、すき間のある歯並びが出来上がると思いませんか?これは「人間の感覚はいつも正しくて、歯や顎の位置は変わる訳がない。」 と言う思い込みがあるため起こります。
実際、当院に来院される患者さんのほとんどが、治療した挙句に低い銀歯をかぶせられ、俗に言うところの低位咬合を引き起こしているのです。
このような事態を招かないためにも、その人に合った高さを決定する事の出来る筋肉反射テストは、歯科治療において必需品ではないかと考えます。
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