ちょっとツッこんだ 歯のはなし

      知っとく お盆特別号
今月は予定を変更して、当院患者Oさんの質問にお答えする事にしましょう。
「下顎前突」いわゆる「受け口」の場合の矯正の注意点についてです。

8月号

 

 

矯正と顎関節症  

    

   

 受け口は、とりわけ早いうちに矯正の対象となる不正咬合ですが、その程度により
矯正のやり方がいくつかあります。
 例えば、下顎を奥に押し込んだ時に、上の歯が下の前歯より前に出る、もしくは
上下の歯の先と先で当たるといった状態の時には、前歯で割り箸を噛ませることなど
によって、簡単に見た目をよくすることができる場合があります。 しかし、ここで考え
なければならないのは、骨格のアンバランスによる受け口の場合です。
 一見、下の前歯だけが前に出ているような時でも、それが 上の顎と下の顎の骨の
アンバランスによって「受け口」になっている場合 (明らかに下の顎の骨のほうが、
上の骨より大きい場合)は、このような治療の対象外です。 これは、見た目美しい
歯並びが、身体と調和していないというケースにはいるでしょう。
 矯正を行うときには、歯並びと身体が調和するように考えなければなりません。これ
を考慮せずに矯正を行い、結果顎に負担をかけて顎関節症になってしまった患者さん
は、私の知っている限りでも少なくはありません。もちろん、受け口の矯正だけでなく、
普通の矯正の場合でもこの危険性は考慮されるべきです。その人の人生を左右する
のです。安易な診療方針を立てるべきではありません。
 せめて筋反射を正しく取る事が出来れば、このような悲劇は起きないのですが…。
嘆かわしい事です。

安易な矯正が、顎関節症患者を増やす要因になっているという事を 治療サイドは
もっとよく知る必要があるでしょう。

  来月号では、「矯正による顎関節症の治療は有効か?」
という問題についてお話しして行くことにします。 
 

院長の吉田です。

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