ちょっとツッこんだ 歯のはなし

フッ素の効果を今や知らない人はいませんが、その反面、フッ素に対して受け入れ難く思っている方が多いのもまた事実。今月は、フッ素にまつわる話をお話ししましょう。

8月号

 

 

〈シリーズ・子供の歯〉 そのL 「フッ素よもやま話」

   

 フッ素は、先月もお話ししたように海草など海産物に多いようです。しかし最近は、食事の欧米化に伴い、意識して食べるようにしないかぎり、食物を介して多くのフッ素を摂取するのは難しいでしょう。

 では何も打つ手がないかというと、そうではありません。日本人なら誰でも知っていて、とても身近なものにもフッ素が多く含まれています。さてそれは何でしょうか?

答えはお茶です。意外でしたか?

 お茶の中でも、特に番茶に多いので、日本一の茶所 静岡県 では、フッ素洗口の代わりに番茶洗口を行っていたそうです。フッ素が入っているとはいえ、もともと食品のお茶は、フッ素を警戒する方々からも一応の理解を得ることができました。

 このフッ素に対する過敏反応には、理由があります。1971 宝塚市 において、地下水を利用した水道水に多量に含まれていたフッ素が原因で斑状歯が発生し、大問題になったからです。ですが、年配の方の中には、フッ素が原因--->フッ素は使ってはいけないという過剰な反応をする方もいらっしゃいます。食生活の変化や(柔らかいもの・糖分の多い食物の増加)歯質・歯並びの悪化(柔らかい食物で顎が発達しないため)による虫歯を減らすために、学校でのフッ素洗口も計画されましたが、一部の学校でしか行われていません。希望者のみ洗口するという案も、洗口をする子、しない子間のあつれきもあるようです。このような実情ですので、水道水へフッ素を入れるという案も足踏み状態です。(欧米ではすでに上水道へのフッ素混入が行われています。)

 ただ、フッ素洗口だけで虫歯を防ごうとしても無理ですよ。日々何度も物を食べている以上、食べかすがたまります。食べかすがあれば、菌はそれをもとに活動を始めます。フッ素が、虫歯になったり、歯ぐきが腫れたりという、不快な状態を完全に防いでくれると思ったら大きな間違いです。あまり歯を磨かず、大人になってしまった人は、若くして歯がなくなり、入れ歯のお世話になる可能性が非常に高くなるでしょう。

フッ素は規定の量を守れば、身体に害を及ぼすことはありませんし、虫歯の害を減らしてくれます。しかし、虫歯予防の基本はあくまで歯みがきです。フッ素ばかりに頼るのではなく、補助的に使うのが理想だと思います。

(※多量に含まれたフッ素……使用基準値の約千倍ほど。)

来月は、
小さなお子さんの虫歯の進行を遅らせる
【サホライド】についてお話しします。

院長の吉田です。

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