ちょっとツッこんだ 歯のはなし

最近では、虫歯予防にフッ素がいいというので、歯磨き粉にフッ素が配合された製品が多くなりました。今月は、フッ素の働きについてお話ししましょう。

7月号

 

 

〈シリーズ・子供の歯〉 そのK 「フッ素が虫歯を防ぐわけ」

   

 フッ素に虫歯予防の効果がある、ということを、今では知らない人はいないでしょう。このフッ素は、地球を構成する物質のもととなる元素を、その性質ごとに分けて表にした元素周期表にも、第9番目の元素として登場します。それはすなわち、フッ素がこの地球上に多く存在する、身近な物質だということです。

 現に、フッ素は海水に多く含まれていますし、土や草、木をはじめ、私達がよく口にする魚介類(いわし・ひじき・オキアミなど)にも多く含まれています。このフッ素を効果的にしかも効率よく摂取することができれば、虫歯になりにくい丈夫な歯にすることができるのです。(※摂取の時期に関しては、先月号をお読み下さい。)

 歯が生えてすぐの頃には、表面のエナメル質がまだ完全に出来上がっていません。この頃に適度なフッ素があれば、歯のエナメル質の成分であるハイドロオキシアパタイトがフッ素と化合し、より硬いフルオロアパタイトというものになります。(ちょうど、歯の表面を硬いものでコーティングしたような状態です。)

 また、ごくごく初期の虫歯に対しては、酸に溶かされてできたすき間にフッ素が取り込まれやすいので再石灰化を促し、虫歯がそれ以上進行しないようにしてくれるのです。更に、虫歯菌が糖を栄養にするための酵素の働きを鈍らせるので、歯を溶かす酸を作りにくくします。その結果、虫歯になりにくくなるというわけです。(虫歯菌も私達と同じように、糖を食べてそれを酵素で分解しているのです。食べた後に残るのが、虫歯を作るもと。食べたら歯みがき、とうるさく言われるのは、虫歯菌のごはんである糖をなくしてしまえば、食べるものがないので酸はできませんし、仮に酸ができたとしても歯を溶かす前に掃除をしておけば、当然ながら虫歯になりにくいという理由からです。)

 こうまで良いことづくめのフッ素ですが、多く取りすぎると良くないことも起こります。歯が顎の骨の中で作られている時期に、多量のフッ素を長い間とりつづけると、エナメル質が石灰化不良を起こすことが知られています。石灰化不良については、またあとで詳しく語ることにしますが、とにかく用量と用法を誤らなければ、フッ素は虫歯予防にとても効果があるものです。

 フッ素を多く含む食物をしっかりとるのはもちろん、フッ素入り歯磨き粉を使ったり、定期的に歯医者に行くときに合わせてフッ素を塗ってもらったりと、身近なところから試してみてはいかがでしょうか?

来月は、「フッ素よもやま話」をお送りします。

院長の吉田です。

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