ちょっとツッこんだ 歯のはなし

今月からは、視点を変えて高齢者と歯についてお話しします。

10月号

 

 

〈シリーズ・高齢者と歯〉 その@ 「残存歯数と医療費」

   

 「802080才で20本の歯を残そう!」これは、日本歯科医師会が今取り組んでいる目標です。もしかしたら、お近くの歯医者さんやテレビなどで、このポスターを見たことがあるかもしれませんね。以前このコーナーで書いたことがありますが、どの部位であれ、20本の歯があれば、部分入れ歯などの助けを借りると、ほぼ全ての食物を、自分が食べたい形で食べることができるからです。食べたい形というのは、たくあんを細く刻むとか肉をハンバーグにするのでなく、丸く切ったたくあんをそのまま食べたり、ステーキを好みの大きさに切って食べたりすることができる、という意味です。

 ものをおいしく食べることができるのはもちろんですが、歯がある人はない人に比べて、病気になりにくいとしたらどうでしょうか?もしそれが本当なら、歯をもっと大切にしよう、という気になりますよね。これは、 香川県 の歯科医師会が、県下で調査したのですが、20歯以上歯のある人の方が、0〜4歯の人に比べ三割も医療費が少なかったという結果が出ているのです。(※香川県歯科医師会のデータより。)その理由を少し考えてみましょう。

 まず、歯は上下でバランスよく噛むことで、身体がゆがむのを防いでいます。身体のゆがみが少なければ、身体に過度の力が加わる事が少ないので、腰痛や肩の痛みなどで整形外科を受診する回数も減るでしょう。また、食物をよく噛んで、飲み込む前に細かくすることができれば、胃腸に負担をかけることなく消化吸収することもできます。食物はもともと人間にとって、アレルギー物質を含むアレルゲンですので、よく噛み、消化酵素を含むだ液と混ぜ合わせることは、このアレルゲンが直接身体の中に入るのを防ぐということに他なりません。

 食物を摂取するときに、食べられるか食べられないか選ばなければならないということは、ある意味栄養を偏って摂取するということです。人間の身体に必要な栄養素が揃っているのと、偏っているのとでは、もちろん栄養素が揃っているほうが身体の抵抗力も上がるでしょう。身体の抵抗力が上がれば細菌やウイルスが進入してきたとしても、さほど大事にならないうちに治ってしまうことだってあり得ます。また、もし病気になったとしても、入院せずに通院で治るのなら、当然医療費を余分に払わなくてすみます。

 では、すでに総入れ歯の人はどうすればいいか、という話ですが、自分に合った入れ歯を入れることを心がけましょう。保険で作った入れ歯の寿命は、約一年といわれています。長く使っていると歯の部分がすり減ったり、歯ぐきがやせて入れ歯ががたつくようになったりします。これでは身体のバランスも崩れますし、ものをしっかり噛むこともできません。健康はまず歯から。今一度、自分の歯にご注意の程を。

来月は、「口腔ケアの必要性」について お話しましょう。

院長の吉田です。

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