ちょっとツッこんだ 歯のはなし

今月号は“矯正と顎関節症”の最終回。矯正と顎関節症についてまとめていくことにしましょう。

12月号

 

 

矯正による顎関節症の治療は有効か? その4  

    

   

今まで3ヶ月間にわたって、矯正の種類とやり方についてお話ししてきたわけですが、矯正のやり方にこれほどの種類があるということを、ご存知の方はいらっしゃらなかったのではないでしょうか?そして、矯正というものが身体を歪ませるというリスクの上に行われるという事実…。矯正するに当たって、このあたりのことを少しでも説明してもらえる方は、まだいいほうかもしれません。

 矯正とは、いわば人工的に顎関節症を引き起こすかもしれない状態で行われるものです。

 ここ最近某サイトで、【顎関節症を矯正で治す】という事が書き込まれるようになりました。噛み合わせ・歯並びの悪さが顎関節症の原因になりうるのなら、その原因を取り除けば症状の改善が見られるはず、という考え方は、あながちはずれではありません。しかし歯ほど個人差の見られる部位は他にはなく(歯並び・歯の大きさ・治療の状態・詰め物の形・その材質・ストレスによる食いしばりの程度・顎の形など)他の身体の部位のように、治療方針を何種類かの決まったパターンに分けることが出来ません。したがって、治療には患者さん一人一人に合った治療方針を立てる必要があるでしょう。その時に筋反射は必需品ですね。

当院ホームページにも書きましたが、矯正で歯並びを治すことで顎の不調を良くしようという考え方は、ひずんだ身体を元に戻そうとする時に、一部の修正だけで身体全体のバランスを取ろうとするようなものです。これは、傾きのある土地に柱をたて、家を建てようとするのに似ています。

土地の傾きにあわせて材料を調達し、柱の長さも変え、細かい設計と細心の注意を払って家を建てるのも、趣があっていいかも知れませんが、土地をまず水平にならしてからのほうが、苦労せずに建てることが出来ると思いませんか?

歯も同じ。矯正があなたの身体に引き起こすリスクを考えると、顎に不安のある方は矯正治療を行なうより、身体のバランスを取って、適切な歯の高さにかぶせなおす治療を行なったほうが、よい場合が多いのではないでしょうか。

来年度は、「開口時の音」からお話しすることにしましょう。
では皆さんよいお年を。

院長の吉田です。

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