知っておくとトクする 歯のはなし

 

   

       

先月は、赤ちゃんの離乳食の開始時期を誤ると、かみ合わせに影響する可能性があるとお話しました。では、そのほかに注意する点はないのでしょうか・・・・・。

2005年3月号

 

 

習慣がかみ合わせに与える影響
  

         

 先月号の補足になりますが、過去には生まれたばかりの赤ちゃんの後頭部が平らにならないように、と“うつぶせ寝”にしている方がいらっしゃいますが、この姿勢を続けていると、下のあごに頭の重さが加わり、顎の位置自体が狂いやすくなります。(とりわけ赤ちゃんの骨は柔らかいので注意が必要です。)赤ちゃんにはやはり、“あお向け寝”がよいでしょう。
                    うっぷ〜。満腹、満腹。

 お子さんがもう少し大きくなると、定期的に何度かの検診が行われると思います。 1歳6ヶ月検診でのことです。 おしゃぶりをくわえたある子どもさんが、若いお母さんに連れられてやってきました。
 このお子さんの口の中を見たところ、上下とも8本づつ計16本の歯が生えていたのですが、(先月号の離乳表によると、離乳後期ぐらいと思われます。)そのうちの前歯8本がひどい虫歯で、歯ぐきのうえに出ているはずの頭がなく、さらによくないことに歯ぐきも、重度の歯肉炎になっていました。
 小さな頃から糖分の多い食事をさせたあげく、歯をみがくどころか歯ブラシの代わりにおしゃぶりをくわえさせていたためでしょうか・・・。

 歯は、きちんと上下がかみ合うことで、体のバランスを保つようにできています。このように、虫歯によってかみ合わなくなった状態が続けば、身体が正常な発育をするのは難しいと言わざるを得ません。しかも、おしゃぶりをいつもくわえている、ということは、上下の歯のあいだに物をいつも挟んでいるのと同じことですから、体のバランスを崩す手助けをしているようなものです。
 お母さんにしてみれば、おしゃぶりを使えば“泣かせないですむ”と安易に考えているかもしれませんが、泣くことで自分の気持ちを表現している子どもを“泣かせない”のは、本当に酷なことだといえないでしょうか。
 この、1歳6ヶ月のお子さんは、虫歯だけでなく、身体のひずみからくる身体の不調を考慮しなければ、将来全身の不調に悩まされることになるかもしれません。

 同じような理由で、“指しゃぶり”も体のバランスを崩しやすい習慣といえるでしょう。いずれの場合でも、前歯の間にいつもなにかを挟みこんでいると、奥歯で噛んでいるのに、前歯はかみ合っていない、という状態になってしまいますよ。(オープンバイト・開口)前歯も奥歯も、まんべんなく噛んでいることが必要なのです。

 子どもは成長途中で、骨にもまだ未完成の部分があります。この時期だからこそ、骨の成長を妨げる恐れのある習慣は、気をつけておきたいものです。

院長の吉田です。

4月号では、『現代人の歯と昔の人の歯』についてお話しましょう。

HOMEへ戻ります。

         このページのTOPに戻ります。         2005年2月号に戻ります。      2005年4月号へ


このページで使用したFee素材は ・・・ いたま 牛飼いとアイコンの部屋 KOBEYA