“痛み”って、嫌なものですね。
歯の痛みはもちろん、身体のどの部分の痛みであっても、あると憂鬱になります。
ところがこの“痛み”、私たちが生きていく上で 必要なものであるとしたら、どうでしょうか? 例えば、歯の痛みについて。歯が痛ければ、そこに何らかの異常があるとわかります。舌で触って何か穴のようなものがあれば、どれだけ歯医者嫌いの人でも、治療を始めるきっかけにはなるはずです。もし、そこに何の異常も見られなくとも、“痛み”というサインがあれば、その原因を取り除いて楽になりたいと思うのは、当然のことです。
また、腹痛などではより深刻でしょう。内臓は目で見て確認することはできませんから、(健康診断などの検査は除いて)痛みなくして異常に気付くことは、まずないといっても過言ではありません。
もし、この“痛み”をまったく感じないとしたら、どういうことが起こるでしょうか。ケガをしても、痛みがなければ血管を閉じる作用がうまく働かず、なかなか出血が止まりません。
また、体の中に異常があっても、痛くなければわかりません。死に至るような病なら、ある日突然症状が悪化して、最悪の事態を招くことがあるかもしれません。
歯の痛みだってそうです。虫歯も、痛くなければ殆どの人は問題にしないでしょう。多少噛みにくくなったな、程度しか考えず、そのままにしておいても、痛くなければへっちゃらかもしれませんね。それが、身体にどんな悪影響を及ぼすのかを知らなければ、人間は何だってやってしまいがちです。
しかし、ひどい虫歯をそのままにしておくと、痛みはなくとも寝の先の腫れは残ったままです。毎日、食事のときだけでなく、唾液を飲み込むたびに、膿みを体の中にばら撒くことになるのです。こんなことをしていては、身体にいいわけありませんね。
さらに、歯なくして噛もうとすれば、食べ物を丸呑みするしかありません。胃腸障害を起こし、ひいては栄養をうまく体の中に取り込むことができなくて、全身を弱らせていくでしょう。
世界には、この“痛み”を感じる神経を持たない人がいるそうです。そしてそういう方は、みな一様に短命であるとか。
ありがたくない“痛み”ですが、身体の注意信号として、しっかり受け止めたほうがよいのではないでしょうか。
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