歯にもいろいろな形があり、それぞれに名前があります。たとえば前歯(中切歯・側切歯・犬歯)奥歯(小臼歯・大臼歯など)それから親知らず。この親知らずに関しては、「抜いたら腫れた。」「抜いたとき出血が止まらなかった。」「抜いたら熱が出た。」などの悪評とともに名前を聞くので、よくご存知でしょう。
親知らずの名前が出たので、この歯について考えてみることにしましょう。
親知らずに関しては、皆さん「抜かなければならない歯」と思っていらっしゃるかもしれませんね。しかし、親知らずであっても、ある条件の下では「抜かなくてもいい歯」になる場合があります。
たとえば、まっすぐ生えて反対側の歯と噛み合い、なおかつ歯ブラシできれいに掃除できる場合。現代ではこんな歯の人はあまりお見かけしませんが、縄文時代の人は顎が充分に発達していたと考えられるので、(食物のほとんどが硬い物でしたので)きっと親知らずも、物を噛む役に立っていたはずです。
また、親知らずの手前の歯を抜かなければならなくなった場合、ブリッジの支台にする為抜かずに残しておくときもあります。
ただ、こういった選択ができるのも、「歯にぐらつきがない」(歯槽膿漏が進行していない)場合に限られます。いくらその歯が親知らずではなく、歯ブラシで掃除しやすい場所に生えていて、しかも反対側の歯と噛みあっていたとしても、噛むたびに歯がぐらついて痛みがあり、しょっちゅう腫れるのなら抜いたほうが得です。「歯は抜くものではないから」と言って抜かずにいると、その歯だけでなく隣の歯までぐらつかせることになりかねません。
このように、物を噛んだり、今まで再三申しあげてきましたように体のバランスを保ったりするのに大切な歯ですが、だからといって全部抜かないほうがいいとは限りません。気をつけたいのは、その歯を残すほうが身体にとって得か否か、ということなのです。そして抜いたほうが、身体に悪影響を及ぼさなくなるのであれば、感情論は別にして早めに抜く。残したほうが得なら、残す。
いいかげんに聞こえるかもしれませんが、このやり方が一番よいようです。
まさに「いいかげん」=「良い加減」なのです。
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