「歯を抜くと、噛みづらくなるということはわかっていても、ブリッジにするにはまた麻酔をしなければならないし、なにより歯を削るのがイヤだ。」こんな声をよく聞きます。お年寄りの中には、歯がないのに「はぶ(歯ぐき)で噛めるけん、入れ歯はせん!」という方もいます。きっと歯がなくなるまでに、よほどつらい目にあったのでしょう。
では、歯ぐきで食べられるのに、どうしてそこに歯があるのでしょうか。
一昔前にテレビに出ていた、【くしゃオジサン】を知っていますか?あの方は歯が一本もなく、顎の位置が不安定なところに、さらに顎の関節をはずしてあのような顔になっていたものと推測できます。あのオジサンは、そう長くテレビで活躍した記憶がありませんので、恐らく顎関節症による身体の不調を抱えていたのではないでしょうか。
それはさておき、歯が一本でも抜けると、反対側の噛み合わせが伸びてきて、ガタガタの歯並びが出来上がります。また、隣の歯が倒れこんでくると、噛むたびにゆがんだクギを叩くようになり、歯がおじぎをしたような奇妙な歯並びにもなります。このような歯並びがあなたにもたらすのは、低位咬合、すなわち程度の差こそあれ、あの【くしゃオジサン】の噛み合わせなのです。
低位咬合があなたの身体にもたらすものは、『顎関節症』による身体のひずみに他なりません。「歯がなくなって噛めなくなったら、やわらかいもので食べればいい。」なんてことを言っていると、そのうち食べようにも口が開かなくなるかも。それで済めばいいのですが、身体がひずんだことによって、原因不明の身体の不調に悩まされたあげく、目くらめっぽうに手術をして寝たきりなんて、まっぴらごめんですね。
そうならないためにも、今一度ご自分の身体のために、歯の治療をしてみる勇気を持っていただきたいと思います。(昔に比べて、麻酔もあまり痛くなくなりましたよ。)
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