ちょっとツッこんだ 歯のはなし

年をまたいでのこのコーナー。先月号ではインプラントは歯槽膿漏になりやすいということをお話しました。今月はもっと恐ろしいインプラントの弊害についてお話しましょう。

1月号

 

 

最新治療インプラントに欠点はないのか?2  

    

   

 2005年5月号のこのコーナーで、「歯の根のできかた」についてお話しました。永久歯の根は、歯茎の上に頭をのぞかせた時点ではまだ出来上がっていません。歯がだんだん生えてきて、反対側の歯と噛み合うようになると、その力を支えられる方向に根が作られていくのです。したがって、同じ場所の歯であっても同じ形の根をしているものはありません。
 インプラントを行なうとき、もちろんこの噛み合わせの力に耐えられる設計がなされます。最新の診断機器で、どの位置に、どういう方向に埋め込むかまで細かく設定されます。この設計どおりに人工の根が埋めこまれれば問題はありません。
 しかし注意しなければならないのは、この手術を行なうのは人だということです。確実に根を、設計どおりの位置に、設計どおりの角度で埋め込むのは難しいと言わざるを得ません。しかも、インプラントには、歯根膜と呼ばれるクッションの役割をするものが作れません。直接顎の骨に打ち込まれる人工の根は、噛む力を直接脳に伝えてしまう恐れがあります。
 これは、靴の底に鉄の板を貼るのと同じです。靴ではその衝撃を吸収する素材を使っているのに、インプラントはそこまで考慮される事はありません。また、人間の噛む力は想像をはるかに超えるほど強いものゆえに、噛むときの顎の骨の変形にまで神経を使わなければ、噛み合わせ上何ら問題のないインプラントは作れないと思います。まして自分の歯の噛み合わせさえ、十分な咬合論がない状態でインプラント治療を行なうなど、不安で仕方がありません。噛み合わせがその人に合った状態でないと、筋肉のバランス異常・骨の歪みなどといった症状を引き起こしてしまいますから。
 数年前、某歯科大インプラント科の助教授に、インプラントの咬合について質問する機会に恵まれましたが、私を満足させてくれる回答は得られませんでした。インプラント器具を作っているメーカーの指導医師も同様で、残念に思います。

 このような状況で、インプラントは本当に歯科にとっても患者さんにとっても、期待でき 且つ十分満足できる最新治療といえるのでしょうか?

来月号は、「片噛みをすることの弊害」について
お話しすることにしましょう。

院長の吉田です。

HOMEへ戻ります。

         このページのTOPに戻ります。         2006年12月号に戻ります。      2月号へ


このページで使用したFee素材は ・・・ いたま 牛飼いとアイコンの部屋 Pearl Box