ちょっとツッこんだ 歯のはなし

顎関節症は、進行すると開口障害(口が開きづらくなること)を引き起こします。
今月はこのときの対処法についてお話ししましょう。

4月号

 

 

開口障害とその対応

   

 「口が開かなくなる」ということは、動物にとって深刻な問題です。

口は、身体の機能を維持するための食物を取る場所だからです。もし仮に、野生の動物がこのような事態に陥ったとするなら、それはすなわち死を意味するでしょう。

 ところが人間は、多少の開口障害なら、それが直接死とつながることはありません。直立歩行による手の発達が、食物を口に運ぶ(まさに文字通り)手助けをしてくれるからです。食物を細かくちぎったり、口の中へ食物を押し込んだりする事ができれば、少なくともおなかをすかせる事はありませんから。

 最近では、ほとんどの人が大なり小なり、顎に何らかの問題を抱えていると推測されますので、このような症状にいつ見舞われないとも限りません。言い換えれば、誰にでも起こりうる身近な病気だとも言えるでしょう。

 さて、もしあなたの口が、急に開かなくなったとしたら、どのようなことに気をつければよいでしょうか?

 第一に、あせって大きく口を開けないこと。あけられないままの状態が続くと、筋肉が固まって二度と口が大きく開かなくなるというのはウソです。大きく口を開けようと練習する事は、捻挫した足のまま走り回って負担をかけ続けることと同じです。 開口障害は、顎についている筋肉の異常が原因で起こっていますので、まず安静にするほうが賢明です。

 第二に、柔らかい食物を、両方の歯を使って食べるようにすること。痛みがあるから、と片方ばかりを使って噛み続けていると、余計顎の筋肉のアンバランスを引き起こすのでよくありません。安静に過ごしていると、2〜3日もすれば少しずつ口が開き始めるでしょう。それから、近くの歯科を受診する事をお勧めします。身体全体を診ることのできる筋反射が取れる歯科医を、せめて捜してみて下さい。

もちろん、このような事態にならないようにする事が第一です。それには、普段から
  急に大きいあくびをしない。
  りんごの丸かじりなど、口を大きく開けて物を噛む事は避ける。
  顎に痛みがあれば、無理に大きく開けない。

ということに気をつけましょう。

来月号のテーマは、今考え中です。来月までお楽しみに!

院長の吉田です。

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