ちょっとツッこんだ 歯のはなし

 今月は、合併号です。
 「顎関節症と心理的な問題」をテーマに
 お話ししていきましょう。

7・8月号

 

 

顎関節症と心理的な問題

   

 いきなりですが、ちょっと一服。ここで歯に関する言葉を辞書で引いてみましょう。

「歯がみ」・・・・・・歯をかみしめてくやしがること。(類)歯ぎしり。

「歯がゆい」・・・・横から見ていて「もうちょっと何とかならないか。」という気がして
 いらいらする様子。 (類)もどかしい・じれったい

「歯ぎしり」・・・・・(1)眠っている時に、歯をこすり合わせて音を立てること。

          (2)歯を食いしばって悔しがること。

 このように、歯に関する言葉の表現には、気持ちが良い時の表現があまりないことがわかります。つまり昔から、歯というものはストレスに耐えるために使われることが良く知られていたということです。

 また、大昔の遺跡からは、もちろん歯も出土します。そしてそれらの歯のすり減り具合から、歯の持ち主がどれくらいの年齢かもわかるのです。(年齢の“齢”の字には、歯という漢字も使われていますね。)

 現代は、昔に比べ高ストレス社会と言われています。生きるか死ぬか、という戦争のストレスは、それこそ必死の形相で歯を食いしばって耐えても誰も何も言わないでしょう。しかし、東西冷戦から続く水面下の争いは、笑みの陰で歯を食いしばらざるを得ないといった、矛盾する感情をコントロールすることを人間に強いるのです。心と裏腹の表情を作って生きている現代人は、それにより知らないうちにストレスを心に封じ込めていきます。その結果、身体にたまった疲労にも気付かず、日々を過ごすうち、ある日突然(今まで気が付かずにいただけなのですが…。)倒れる・キレる・爆発する…。

 こういったわけで、当院では治療の前に心のストレスにも目を向け、まずそれを解決してから治療を始める場合があります。(最近はこのような患者さんがとみに増えてきたように思います。)ストレスが残ったままだと、いくら歯を治しても、食いしばりや歯ぎしりによって治療前の状態に戻るのも時間の問題でしょう。一度治したものを再び治療するということ自体が、ストレスにもなりうるのです。

ストレスによる食いしばりや歯ぎしりは、もれなく低い噛みあわせを作り出し、顎関節内の関節円板に穴を開けたり、その位置を狂わせたりして最後には骨を削ってしまいます。そして顎関節症はどんどん悪化していくのです。

来月号では、「レジンの害」についてお話ししていきましょう。

院長の吉田です。

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