ちょっとツッこんだ 歯のはなし

最近、当院に来院する子供のほとんどが、他院でレジンによる治療を行っています。このレジンとよばれるプラスチックの詰めものについて、改めて考えてみましょう。

9月号

 

 

レジンの害 (1)

   

 レジンとは、現在では主に、特殊な光を当てて固める事のできる、歯科用の充填剤のことをいいます。歯と同じような色合いなので治療の後がわかりにくく、しかも型どりの必要がないので、治療期間が短縮できる、とよいことばかりのように思われがちです。

 ところが、最近他院にてレジンによる治療を行った部分が腫れ、当院にて再治療を要する患者さんが増えてきました。特に乳歯などにおいては、レジンを外すと神経の部屋に達するほど、深く削られているケースも見られました。

 歯科業界では、治療の審美的局面が幅をきかせてきたため、このレジンとよばれる詰め物に対する研究が、さかんに行われています。レジンを歯にくっつけるための接着剤もそうです。より刺激が少なくなり、神経に近い場所まで削っても、神経を保護する作用を兼ねるものができ、さらに従来のレジンにはつけにくかった、山や谷といった溝もつけられると、うたい文句はとても魅力的です。

 しかし、メーカー側の思惑と裏腹に、それをあつかう歯科医の考え方は、あまりにもお粗末と言わざるを得ません。このレジンによる充填を行い、レントゲンにはっきり映るほど根が吸収されてぐらぐらになった乳歯を見るたび、怒りを通り越して悲しくなります。

 削ったら、そこに何か詰めておけばいいのではないでしょう。治療を行ったのなら、その部分が元のように「ものを噛む事ができる」状態、そして噛む以外の機能(顎の位置を安定させる等)も回復できていなければ、「治療がすんだ」と言ってはいけないのです。

 便利な材質【レジン】。この材質は、切削量が少なくてすむ・来院回数が減る・審美的に金属色でないなどといったメリットばかりに焦点を当てるのではなく、もっと慎重に検討のうえ使われなければならないものだと思います。

保護者の皆さん、こんな治療の現状をぜひ覚えておいて下さい。

来月号では、「レジンの害・その(2)」をお送りします。
レジンによる治療が子供の成長にどのような影響を与えるか、考えてみましょう。

院長の吉田です。

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