ちょっとツッこんだ 歯のはなし

先月に引き続き、レジンの話です。少し難しくなりますが、おつきあい下さい。

10月号

 

 

レジンの害 (2)

   

 先月号では、レジンの利点と治療の現状についてお話ししました。削ったところを詰めれば治療終了というお手軽さがうけてか、今の小児歯科治療はこのやり方が主流とか。

 レジンもお口の中に詰めて使うものですから、印象剤(歯の型を取るための材料)と同様、誤って食べてしまっても害のないものでできていなければなりません。最近では、米などの食べ物ですら化学物質に汚染されたものが流通し、大問題になっています。これは、化学物質が人間の身体に悪影響を及ぼす恐れがあるからに他なりません。

 ではこのレジン、一体どういったものから作られているのでしょう?気になりますよね。

 少し古いのですが、1989年発行の「歯科医学大辞典」によれば、最近のレジンはグリシジルメタクリレートとビスフェノールAを合成させたBisGMA(びす−じーえむえ−)という物質でできています。ここで問題になるのは、ビスフェノールAというもの。これは、レジンには欠かせない物質で、同時に内分泌かく乱物質(ホルモンのバランスを乱す恐れのある物質)といわれています。

 レジンを作っているメーカー側はレジンをつめることによって、中に含まれるビスフェノールが溶け出すことはまず考えられない。との見方を示していました。しかし、数年前に新聞で話題になった時には、何トンもの異常な圧力が加えられた場合には、ごく少量の溶出はあるかもしれないが、人間に即影響を与える量ではない。と変化してきています。

 実際のところ、今の歯科治療において、レジンを使うことなく治療を行うことはまず不可能でしょう。もちろん、かくいう当院にもレジンはありますし、主に前歯の小さな虫歯の充填などに使っています。しかし、問題を引き起こす可能性があるのなら、ときに人間の体重以上の力が加わる恐れのある噛み合わせ面に使うのは控えるべきだと思います。「ごく少量だから人体には影響がない。」と言い切れるものではないはずです。

 特に、大人より影響を受けやすい子供にこのようなレジンを多用すれば、つめられたレジンから溶け出す微量のビスフェノールが、何の問題も引き起こさないと言い切るのは難しいのではないでしょうか。さらに、生きていく上でさまざまなところから摂取する可能性があるならば、可能な限り除去できるところで対応する必要があるでしょう。薬だって、大人と同じ量の薬を子供に飲ませる事はしませんよね。  

「今見えなければ、そこに何もあり得ない。」のではありません。

来月号では、「レジンの害・その(3)」
子供の生活習慣病との関係について
お話ししましょう。

院長の吉田です。

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