ちょっとツッこんだ 歯のはなし

最近小学生の生活習慣病が問題になっています。今月はこの生活習慣病と“噛む”ことの関係についてお話しすることにしましょう。

11月号

 

 

小児生活習慣病との関係

   

 生活習慣病 これは、少し前には大人の病気と言われていました。しかしここ十年ほど、同じような症状を訴える小学生があらわれはじめ、食事や生活の指導で対応されているようです。ところがこの病気、噛むということと密接に関係しているとしたらどうでしょうか。

 まず、この小児生活習慣病に対する学校の指導は、

 (1)間食を低カロリーのものにするか、量を減らす。

 (2)食事をする時、よく噛むようにする。

の二点です。現在はすぐ近くにコンビニがあり、いつでも欲しいだけの食物が手に入ります。またそういった食物は、調理済みで食べやすいように柔らかいものが多いため、ほとんどがあまり噛まずに食べられるものです。

 ところで、人間が食物を食べる時、ある一定量以上は食べたくなくなるのは「満腹中枢」があって、量をコントロールしているからです。しかし、この「満腹中枢」は噛むことが刺激になって働きますから、噛まない人はなかなか満腹にならず、食べ過ぎてしまうのです。食べる量が増えれば太るのは当たり前ですね。

 では、食べ過ぎに注意すればよいだけなのでしょうか。小学生の児童によく見られるのは、「給食を食べるのが遅い子」だとか。高学年になって生活習慣病にならないように、硬い食べ物を給食で出すようになったせいかもしれません。しかしここで問題にしたいのは硬いものが食べられないという事実です。

 赤ちゃん雑誌によると、離乳表は 今も昔も月齢で区切られています。例えば1歳になったら、粒のある柔らかい御飯を食べるように書いてあるのがほとんどです。(この頃は離乳がだいぶん進んでいる時期のようです。)1歳くらいの赤ちゃんはもうだいぶん大きくなってはいますが、歯はどうでしょうか。歯が生えるのが早い子、遅い子さまざまなはずなのに、食べ物は皆同じものを食べさせるのです。お年寄りでは、歯がない人には噛まなくてもいいものを食べるよう指導するのに、赤ちゃんには 歯ぐきを鍛えるためという名目で硬い固形物を食べさせています。結果噛めませんから丸呑みする事を覚え、噛まない子を作る。固いものを嫌って食べないので、柔らかい食事が増え、満腹中枢の反応が遅くなり食べ過ぎる。結果、生活習慣病です。この悪循環が、小児生活習慣病を増やしているのです。当院では、歯の数で分ける離乳表を平成17年2月号の「今月のお知らせ」で紹介していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

来月は、この問題についてもう少し詳しくお話ししていきます。

院長の吉田です。

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