ちょっとツッこんだ 歯のはなし

 前号で、噛むことが生活習慣病を予防するということをお話ししました。
 今回は、歯科治療との関係について 突っ込んでお話ししましょう。

12月号

 

 

   

 「充分に噛むことができる。」ということは、人間の身体にとって大変重要な意味を持っています。というのも、あまりよく噛まずに食物を飲み込むことを続けていると、内臓は大きいままの食物を消化しなければならないため、余分な仕事をすることになります。内臓が余分な仕事をし続けると、栄養を効率よく身体に取り入れることができず、特に大人の場合ですが、体調不良(身体のだるさなど)を引き起こす可能性が増えるでしょう。

 話は変わりますが、最近の歯科治療には、噛む効率を低下させるものがいくつかあります。例えばシーラント。これは、生えたばかりの永久歯の溝を埋めることで、虫歯になりにくくしようという方法ですが、かみ合わせ面のでこぼこを平らにしてしまうため(確かに虫歯にはなりにくくなりますが…。)むしろ食物を噛む効率を悪化させてしまう可能性が非常に高くなります。これと同様な理由で、噛みあわせ面につめられるアマルガムやレジンなども噛む効率を悪化させます。この結果、顎に余分な負担をかけないと食物を噛むことができないので、顎関節症の一因ともなりえます。

 歯を治療して、かえって身体に悪影響を及ぼすわけです。

 人間という生きものは、とかく楽をしたがるもの。食物が噛みにくければ、噛まずに丸呑みする事を覚え、より噛みやすいように手を使い細かく引き裂いたり、更には食物自体を柔らかな食感に変化させたりもします。これは人間以外の生き物にはできないことです。

 食物が充分に噛めないので丸呑みを覚え、噛まないクセを作る。

 硬いものが噛みづらいので、柔らかい食物を好んで食べるようになる。

 あまり噛まずに食物を飲み込むので、当然満腹中枢への刺激が充分でなく、食べ過ぎる。

欧米化した食事内容も、これに拍車をかける一因であるかもしれませんね。(人間の内臓は、民族的な差異が認められるそうです。例えば、日本人は食物繊維などを多く食べていましたから、繊維を消化するために腸が他の民族に比べて長く、そのために胴長体型にならざるを得なかったわけです。これに比べて欧米の人々は肉類を食べる事が多く、比較的腸が短いようです。最近の若者がすらりと背が高いのは、食物の欧米化も原因の一つに上げられるでしょう。そして、この体型の変化が繊維質を嫌う傾向を顕著に表しているとも言えないでしょうか。)

 とにかく、この悪循環の輪をどこかで断ち切りたいものですね。欧米では日本食がブームだそうです。お子さんの生活習慣病予防の為にも、日本食を見直してみてはいかがでしょうか。――もちろん、見た目重視でない歯の治療もお忘れなく!

来年は、「早期離乳の弊害」について
詳しくお話ししていきます。
皆さん、よいお年を。

院長の吉田です。

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