ちょっとツッこんだ 歯のはなし

 少し遅くなりましたが、皆さん明けましておめでとうございます。
 今月は、以前にもお話しした早期離乳の弊害について別の視点から切り込んでいこうと思います。

1月号

 

 

早期離乳が生む弊害

   

 子供が大きくなってくると、母乳(ミルク)以外のものから栄養を摂取するようになります。これは、身体が成長するためには、母乳からの栄養だけでは足りなくなってくるためです。そこで母乳以外のものを食べさせる必要ができ、俗に言う【離乳】が始まります。

 赤ちゃん雑誌などによると、離乳開始は5ヶ月ごろで、ほぼ大人と同じものを食べさせることができる完了期は、1才程度とされています。しかしながら、この離乳の進め方に問題があるということは、平成172月号のこのコーナーでお話ししたとおりです。歯が生えていようがいまいが、一律の対応しかできないというのは、誠にお粗末といわざるをえません。

 子供が発育するために大切なことは、早く何かをさせることではなく、その機能を獲得するために充分身体が発育してからトレーニングするということです。いくら早く教えようとしても、身体の準備ができていなければ、それを覚えるのに必要以上の負担がかかることになります。

 これを、【発育の準備段階】といいます。

 このことを【離乳】に当てはめてみますと、早く何かをさせることは、歯の生え揃わない時期に固形の食物を食べさせることであり、充分身体が発育してからトレーニングするということは、奥歯まで歯が生えてから固形の離乳食を食べさせるということです。

 以前にもお話ししましたが、日本では月齢での離乳が普通に行われているために、噛まずに丸呑みをするクセがつき、またさらにかたい食物が減少傾向にあるため(いわゆるみみまで柔らかい食パンや、ぬれせんべいなど)顎が発達せず、これによる歯並びの悪化が顎関節症を引き起こす要因の一つにもなっています。

 更に付け加えるなら、食物はもともと人間にとってアレルギーを引き起こす要因を含むもの(アレルゲン)です。身体がその食物を消化し、栄養として身体に取り入れる準備ができていないうちに食べさせると、食物アレルギーを引き起こす可能性がでてきます。アトピー体質の増加は、こんなところから始まっているのかもしれませんね。

 子供に余分な荷物を背負わさずにすむよう、離乳時期を見極めるのも親のつとめだと思います。もし、食べさせたものがそのままオムツに出ているようなら、それはお子さんには準備ができていない食べ物だということです。

来年は、咀嚼(そしゃく・ものを噛むこと)について
お話ししていきましょう。

院長の吉田です。

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