まず、歯みがきは何のために行うか?という視点から考えてみましょうか。食物を食べれば歯に食べかすがたまります。これを放っておくと、ひいては虫歯や歯槽膿漏で歯に穴があいたり、抜けてしまったりします。
自分の歯でおいしく物を食べられるように、汚れを取る。これが歯磨きの主な目的です。
単に汚れを落とすためだけならば、汚れたところに歯ブラシが届けば良いわけで、歯磨き粉は必要ない、ということになるでしょう。ではなぜ、歯磨き粉というものが存在するのでしょうか?
それは、歯の汚れを落とすのと同時に、ある種の効果をも期待するからです。
例えば、以下の三点が挙げられるでしょう。
(1) 腫れた歯ぐきを引き締める効果
(2) 虫歯になりかけた歯の表面を修復する効果
(3) 嗜好品(タバコやコーヒー、お茶など)や歯垢による汚れを落とす効果
CMなどでも、このような効果をうたい文句にしているものがほとんどですね。
では、どの程度の量を使えば、この効果が期待できるのでしょうか?CMでよく見られるのは、歯ブラシの毛の部分に余すところなくつけてある映像です。しかし、このようにたくさんつけると、歯磨き粉の中に含まれる発泡剤や、清涼感を出すためのミントの味で、磨いていない部分まで磨けたような気になります。これでは、歯磨き粉の効果を期待するどころか、基本的な歯磨きまでおろそかにしてしまう恐れがあります。したがって歯磨き粉はほんの少量、だいたいあずき豆くらいの大きさを目安に使うことをおすすめします。
また、多くつけると発泡剤の作用で、口の中が泡だらけになり、すぐにうがいをしたくなるでしょう。こうなると洗面所に行って磨かねばならず、寒い時期には気持ち手を抜いて磨くことが増えるかもしれません。これはもちろん歯にとっていいわけがありませんね。
歯磨き粉をつける、つけないにかかわらず、歯はていねいに磨くのが基本です。薬効を期待するのであれば、その目的に合った成分を含む歯磨き粉を、ごく少量つけて磨くようにしましょう。
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