昨日のことです。(平成22年11月23日・祝日)とある有名な臨床家の講習会に出席したと思って下さい。
その有名な臨床家の先生曰く、
「歯科には、重要な二つの要素がある。それは、歯槽膿漏における炎症のコントロールと、咬合である。」
まあ、わかりやすく言うと、歯医者での治療は、歯槽膿漏の治療と噛み合わせが大切ですよ、とおっしゃったわけです。阪大の元教授であるA先生は、かつて
「噛み合わせになんら問題がない、と思われる方(全体の約4割)のおよそ80%に、咬合に問題があるデータが得られた。」
とおっしゃっていましたので、これらを総合して考えてみますと、噛みあわせに全く問題がないと考えられる人は、0.4×0.2=0.08……。100人のうち、たった8人ということになります。自分がその8人のうちに入るか否かは置いておくとして、多くの人が噛みあわせに何らかの問題を抱えている昨今、臨床家の先生はこうも言い切ったのです。
「私は、顎関節症の患者さんは診察しません。」
おいおい、ちょっとひどすぎやしませんか?歯科治療において【咬合・噛み合わせ】が大切だといいながら、その噛み合わせが適切でないため引き起こされる【顎関節症】の患者さんは診察しないとはこれいかに!しかも先ほどの計算でいくと、100人中92人にものぼる患者さんを、【あなたは顎が悪いので、診察できません。】と言って追い返すというのでしょうか!
顎関節症の定義をどう定めるか、によって意見は変わるでしょうが、【咬合は歯科の二大要素】だとおっしゃるならば、顎が悪い患者さんを診察しないというのは、あまりにも無責任すぎると私は思います。治療がうまくいかないかもしれない、何を基準に治療をすすめていいかわからない、そんな不安が患者さんへの治療をしない理由なら、最も信頼のおける人のいうことを聞けばいい。すなわち、患者さん自身の身体のいうことを聞けばいいわけです。
ただ、身体の声はとても小さいので、筋反射という形で聞かなければなりません。それも特殊な技術ではなく、練習をすれば誰にでも使えるものです。不安な方は、このやり方をマスターしてみてはいかがでしょうか。
結局のところ、この臨床家の方に質問をぶつけてみようか、とも思ったのですが、鬼手仏心をモットーとしている割には、100人のうち92人の患者さんは診察しないという方ですし、とどのつまりに「私はそんな症例の人は治療しません。」といわれるのがオチと、がっかりして講習会を後にした次第です。
――筋反射は簡単に検査でき、しかも確実な答を導き出すことのできる、スグレモノなんですがねぇ………。(海より深いため息。)
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