
環境戦隊サヌキレンジャー! P
サンポートの決闘 2
そして、ついにやって来た十一月三日(祝)。
サンポートは、おだやかな秋の休日を楽しむ家族連れであふれていた。…というか、イベントもないのにサンポート広場が、家族連れでにぎわうわけはない。いつもはひっそりと二、三組の家族連れが独占できるこの芝生広場に、なぜかおおぜいの見物客が人待ち顔でひしめいている。
サンポート広場を見下ろすシンボルタワーのロビーで、周りの人が引くのもかまわず
阿久津徹は一枚のチラシを握りしめて叫んだ。
「くそっ!――どこまで邪魔をしたら気が済むんだ、久利林!」
まさにそのチラシが、このサンポートに大勢の人が詰め掛ける原因だった。
徹の脇を、五歳くらいの子どもを連れた家族が通り過ぎる。
「なあ、おとうちゃん、きょうホンマにヒーローがくるん?」
「そうや。間違いないわ、県庁のホームページに載っとったけんの。」
「うわ〜、たのしみやな〜!」
家族が通り過ぎるのを目で追い、阿久津はもう一度そのチラシに目を向ける。そこには、こんな文字が躍っていた。
文化の日は サンポートに集まれ!
サヌキ県の平和を守るご当地戦隊【サヌキレンジャー】が
悪の組織【ゴミゴミ団】と対決する!
世紀の対決は 午後一時より 芝生広場にて
――キミの心に正義はあるか!?
「…まあいい。おおぜいの観客の前で、県庁の手先のサヌキレンジャーなどつぶしてやるまでだ。」
さて、時間は少しさかのぼる。金時レッドこと秋山雄平は、JR坂入駅のホームで電車を待っていた。ホームにいるのは、雄平のほかに三人のおっちゃん。声が聞こえてくる。
「汽車、行てもうたんかの?」
「さっき急行が行ったみたいやな。だいぶ待たないかんぞ。」
すると、時刻表を見ていたもう一人が、まじめくさって言った。
「いや、このあとマジンライナーが来るはずじゃ。」
『マジン…ライナーって何や!それを言うなら、マリンライナーや!』
心で突っ込んだら、そのマジンライナーがホームに入って来た。次の停車駅は終点鷹松。緩やかに動き出した電車は意外にも混んでいた。まあ、終点までそれほどの時間もかからないので、ドア付近で立っておこうと決め込んだその時のこと。
「兄ちゃん、一人か?」
作業着を着た、何だか見覚えのあるような、ないようなおっちゃんが、雄平の服を引っぱりそう言った。
「はあ。…どっかでお会いしましたっけ?」
「いいや、わしは知らんの〜。そんなことより、じゃ。誰かと待ち合わせしとるんとちがうんだったら、こっち座るか?空いとんじゃ、遠慮せんでええぞ。」
「ああ…はい、お邪魔します。」
単に、相手に好意を持ったとかいうのではなく、窓際にずらりと並べられたワンカップのびんと、酒臭い息を吐きつつごきげんなおっさんを見、瞬時に、逆らわず好意を受け入れようと考えただけだ。
すでに出来上がっているおっさんたちは、上機嫌でさらに続けた。
「ほらね〜、一人もんだったでしょ〜?」
「はぁ?」
要領を得ない雄平。
「それがじゃ。彼女と待ち合わせしとる兄ちゃんだったら、立っとるの放っといてもええやろうけど、そうでなかったら呼んでやらなかわいそうや、いうて話がまとまっての。暇やけん、賭けしとったんじゃわ。」
「ね、社長。この手のタイプは、一人もんや、言うたでしょ。」
「いかんの〜!今日び彼女の一人や二人、おらないかんぞ、ぼくよ。」
雄平の目の前で、飛び交う百円玉。どうやら、彼女ありか、否かで賭け事の種にされていたらしい。
『ほっといてくれんかの〜!』
ぶすっ、と黙りこくった雄平に、正面のお兄ちゃんがおにぎりを差し出した。
「兄ちゃん、食べるな?」
ラップで包まれたおにぎりはいびつで、とてもじゃないがうまいとは思えない。食べなれたコンビニおにぎりのほうが、はるかにうまそうに思える。
「遠慮せんでええけん。これ、たからだ米いう、うまい米で作ったんやで。しかも新米なんじゃ。」
「はぁ…そうですか。」
出されたものを食べないわけにはいかず、一口ほおばる。すると――。
「こ、これはっ!…ご飯の粒がそれぞれ自己主張しているッ!しかし、互いの存在感を邪魔せず、むしろお互いをさらに究極の高みへと導くようなうまさだッ!」
「…兄ちゃん、どこぞの美食評論家か。」
「い、いえ…。農家の後継者としては、たとえマンガであっても美食に関係するもんは読まないかんので――。」
おおウソである。しかし相手は田舎のおっさん。
「ほうか〜、大変やのぅ。…で、ぼくは何を作っりょんや。」
「ニンジンです。金時ニンジンは、香川の特産品なんです。」
「ふう〜ん、わしは好かんけどの。」
むかっときて、言い返す。
「お言葉ですが、ニンジンには現代人に不足しがちなβカロチンがよっけ含まれとんです!そら、西洋ニンジンに比べたらちょっと味がしつこいけど、考えてみてください、お正月の餡もち雑煮の中に、真っ赤な金時ニンジンが入っとらんの、あり得んでしょ?」
「まあ、の〜。白味噌のなかにぽつんと赤いニンジンがあるんも、めでたいかのう。」
「でしょ〜?ニンジンの入っとらん餡もち雑煮やこし、○リープの入っとらんネ○カフェみたいなもんです!」
力説する雄平に、視線が集まる。同類に見られるのが嫌さに、あわてて隣の兄ちゃんが服のすそを引っぱった。
「ちょっと兄ちゃん、注目されとるで!」
「あ、はい。すんません…。」
マジンライナーは、そろそろと鷹松駅に近づきつつある。おにぎりを食べ終わって一息つくと、またとなりのおっちゃんが言った。
「ところでぼくよ。鷹松まで何しに行っきょんじゃ?デートでもないのに、一人で鷹松行ってもおもっしょないやろ?」
ちょっとむっ、としたが、まさか【サヌキレンジャーとして、悪の組織と対決】とは言えず、雄平は逆に話を振った。
「こう見えても、用事があるんです。そう言う皆さんは、社内旅行かなんかですか?」
「おっちゃんらはのう、会社と社員の生活を守るために、ケンカしに行っきょんじゃ!」
「ケンカ、言うて…えらい物騒な話ですね。」
「物騒やろうが何やろうが、やるときにはやらないかん。ええか、ぼくよ。人生にはの、ええ時ばっかりはない。時には変やの〜?と思うことでも、やり遂げないかんこともあるんじゃ、まる。――わはははは。」
完全にできあがっとるおっちゃん。当然、雄平は逆らわない。
「そうですね…継続こそ力やし。」
そうこうしているうちに、マジンライナーは鷹松駅に到着した。ワキを抱えられ、つかまった宇宙人のように連行されるおっちゃんは、引きずられつつ、陽気に雄平にあいさつをした。
「ほんだらの〜、ぼくよ。おっちゃん、がんばってくるけんの〜!」
「は、はぁ。がんばってください……。」
手をふりつつ、そのあやしい集団を見送ると、雄平も伊野倉たちを探すことにした。駅を出て、すぐは広場になっていて、大勢の人が忙しそうに行き交っている。大通りを挟んだ向こう側には、こんもりした緑が。史跡・珠藻城址(たまもじょうし)である。
『たしか、城の方でなしに、ビルの方に行けと言うとったな…!――ん?』
ビル側のほうの道の途中に、見覚えのある真緑のバイクが置いてあるではないか!しかも、その脇でおまわりさんに怒られているのは、何だか見覚えのある○場くんぽい人だった。
あわててそっちのほうに走って近づくと、おまわりさんの声が聞こえてきた。
「だから〜、ここはバイク止めるところと違うの!道の向こうに駐輪場があるから、そこ持って行って!」
対する、○場くんの反論。
「そんなこと言うても、オレはここで人待っちょんじゃ!さっきの電車で着いたはずやけん、もうちょっとこらえてくれえ言うとるでないか!」
「そんなこと言うても、すぐそこなんやけん持って行って!」
「そんなら聞くけどの、オレがここ離れとる間に捜しとるやつが来たら、どなんしてくれるんじゃ!」
「…わかりましたよ。それじゃ、いっしょに捜してあげるけん!――どんな人ですか?」
ちょうどそこへ、駆け寄る雄平。
「緑川さん!」
「――え〜との、背はこいつ位。顔は、可もなく不可もないくらいで、髪は中途半端なロン毛…。」
「ふむ、ふむ。」
「あの〜。」
恐る恐る話の合間に、緑川の視界を横切る。が……。
「ほんで髪の毛の色は、黒。ぼさぼさのズボラ頭で、名前は――。」
「秋山雄平です。」
自己申告。おまわりさんは、手帳に【あきやま ゆうへい】と書き付けた。
「え〜と、それから?」
「うーん。けっこう特徴ないけんのー。」
不意に、緑川の視線がこっちを向いた。
「そうそう、こんなカンジのヤツ。まんま、こんなもん。」
「なるほどね〜。……って!」
ようやくおまわりさんが気づいた。
「――知り合い?」
「はあ。」
こっくりと頷く雄平。するとおまわりさんは、吐き捨てるように言った。
「何や〜、もっと早う言うてくれないかんわ〜。ほんなら、もうええな?バイクはちゃんと駐輪場持っていってよ、珠藻城の方な。今日は忙しいんやけん、手間取らさんとっての!」
「わかっとる!しつこに言わんでも、ちゃんとしとくわ。」
けんか腰でおまわりさんに叫ぶ緑川に、ほんの少しだが申し訳ないと思い、言った。
「すまん、だいぶ待たせたんやの。」
「いや?ほんの五分くらいじゃ。さけどのう――。」
後ろ向きのおまわりさんに向かって、右手の中指を立てた緑川。
「あいつ、このバイクに妙な改造しとるんちゃうかいうて、因縁つけやがったんじゃ。」
『……やっぱり。』
正直なところ、おまわりさんが言うのも一理あると思った。
「だいたい、お前がバイクに乗って帰っとったらよかったんじゃ。どこの世界に、JR乗って来る正義の味方がおるんじゃ。」
「そなん言うな。俺、しばらくバイク乗っとらんけん、不安でのう。」
大嘘である。本音は、あんなカラーリングのバイクには乗りたくないというところか。
バイクを駐輪場に持って行き、サンポートのほうへ向かうべく、信号待ちをしているとなにやら人だかりが見えた。
「……えろう、混んどるの〜。何かあるんかの?」
ぼそっとつぶやく雄平に、緑川が言った。
「ぼけたこと言うなよ。あるやろ〜、俺たちの対決が!」
「対決、言うたって、別に俺ら【ヒーローショー】するわけやないし……って、まさか!」
「そのまさかじゃ。黒川のおやっさん、オレらのまじめな対決を、【文化の日はサンポートに集まれ サヌキレンジャーショー・キミの心に正義はあるか?】いう名目で、イベントに仕立て上げとるらしい。――おかげで、あの有様じゃ。」
対決場所と書いてあった芝生広場には、チープなステージがしつらえられていて、おおぜいの家族連れが集まりかけている。
「さようなら。」
くるりと背を向けた雄平の肩をがしっとつかみ、声のトーンを落とす緑川。
「一人だけ逃げようったって、そうはイカの何とかじゃ。逃がさんけんの。」
「そんなこと言うたって、こんな人ごみの中で変身や、絶対さらしもんやぞ!」
「オレやって、嫌じゃ!けど、どうせせないかんことやったら、人数は多い方がええ。赤信号やって、みんなで渡ったら怖うないやろが!」
「どんな理屈や〜!」
じたばたする雄平の首根っこをつかんで、さらに緑川は言った。
「え〜か秋山、ように聞け。…こんな見せもんの状態で、悪の組織が出向いてくると思うか?頼みの綱は、悪の組織のシカトじゃ。」
「鹿戸?」
「…つまり、ケンカ相手が来んかったら、ケンカもしようがないやろいうこっちゃ。だけん、ひたすらみんなで敵が来んことを祈っりょんじゃ。」
「みんな、来とったんや…。」
「おう。ピンクの人は、用事済んでから駆けつける言うとったらしい。」
バイクを押し押し歩く緑川にくっついて、遠巻きに芝生広場を見渡せるビルの陰へ移動する。そこでは、黒川が街灯の柱に逆さづりにされ、ムチ打たれていた。
「ええい、この、いらんことしいが!」
ムチをふるうのは、双子の片割れ、亜衣だと思われた。そしてその横で、伊野倉がゆる〜く止めに入っている。
「亜衣ちゃ〜ん、もうそのくらいにしよ〜?このままやったら、なんぼ黒川さんでも死ぬかもしれんったい。」
「このおっさんが死ぬわけないやろ!…ていうか、止めにはいるんやったら、あんたを代わりにしばかんかったら気が済まんのやけど、こっちは。」
半分にしたムチを両手に握りしめ、ぴしぴしと体の前で打ち鳴らす亜衣の表情には、鬼気迫るものがある。伊野倉は、笑って謝った。
「そういうことなんで、ごめんなさい、黒川さん。」
「もう、役に立たないんだから亮ちゃんは――。ねえ、神野くん?」
話を振られたさわやか自転車青年は、表情ひとつ変えずに言った。
「自分で蒔いた種は、どうぞご自分で刈り取ってください。」
「冷たいな〜。お坊さんは、迷える人間を教え導く人でしょ〜?」
「お言葉ですが、黒川さんには、悔い改める気持ちが少しも感じられません。変わろうという気持ちのない人には、御仏の救いの手も届きようがありません。」
「きびしいな〜。…おっ?」
不意に黒川の視線がこっちを向いたような気がした。嫌な予感…というか、嫌な悪寒が体を走る。
「秋山くう〜ん!…た・す・け・て?」
とっさに雄平は、記憶を消した。
「――どなたですか?…どこかでお会いしましたっけ?」
「ひどいなぁ〜。サヌキレンジャーのリーダーのくせにぃ〜!」
逆さづりのまま【死刑!】のポーズ。指先はしっかりこっちを向いていた。
「それを言うな、言うとるやろーが!」
すると亜衣が、刺すような視線を向けた。
「丁度ええとこに来たやん。――雄平、行け。」
「行け、いうて…どこへ?」
亜衣が無言のまま、顎をしゃくった方には、例のステージがある。
「そんな…俺、絶対に無理!」
「なら、二人オマケにつける。…これでええよな?」
本人の了解もとらないまま、雄平のほうに緑川と伊野倉が突き出された。
「ちょっと、亜衣ちゃん!何でオレらが行かないかんと?」
「そうや!久しぶりに来た鷹松で、何でさらしもんにならないかんのかが、わからん。」
「うるさい!赤・青・緑が光の三原色やけんじゃわ!」
今にも噛み付きそうな勢いの亜衣。すると、同じ顔がもうひとつのぞいた。
「な〜、亜衣。もうらちが明かん。私ら正義の味方引き受けたんやから、最後までやろう?」
「そうだよね〜!さすが麻衣ちゃん!」
黒川は懲りてないのか、調子がいい。案の定、ムチが空を切った。
「おのれはっ!」
「きゃいん、きゃいん。」
サヌキレンジャーが分裂の危機を迎えている、まさにその時!ステージから、どこか聞き覚えのある、酔うたおっさんの声が聞こえてきた。
『約束の時間も守れんとは、サヌキレンジャーもたいしたこと、ないのー!』
見ると、ステージ上に数人の人影が見える。さらに、声はエスカレート。
『さっさと出て来んかったら、この勝負はゴミゴミ団の不戦勝じゃ〜!――ええか、みんな。勝利のポーズじゃ!』
芝生広場の向こう側に見えるステージで、十数人の人が踊り狂っているのが見える。
聞き覚えのある、その声が誰のものだったのか。考え事をしながらぼんやりとそれを眺めていた雄平の後頭部に、サッカーボールが直撃した。昏倒する雄平。
「あ〜、すいませ〜ん。ボール…。」
芝生広場でサッカーをしていた中学生が駆け寄ってきたが、街灯に逆さづりの黒川と、ムチを握りしめその前に仁王立ちしている亜衣を見ると、ビビッて後ずさりした。
「――だ…大丈夫です…か…?」
「ここでボール遊びすんな、って書いとるやろが!近頃の中学生は、字も読めんのか!」
「ご……ごめん、なさ〜い!」
ボールをひったくるように取って、脱兎のごとく駆け去る中学生。逃げ足だけは速い。
「おどしたらいかんとよ、亜衣ちゃん。悪気あってやったんやなか。」
伊野倉のフォロー。ちょうどその時、反対側から飛んできたボールが、今度は伊野倉の頭にヒットした。ややあって、黙ったままそれを拾い上げる伊野倉。
「あ、そのボール、こっちです〜!」
くる〜りとふり返ったその顔には、いつもとは違う殺気が感じられた。どうやら、打ち所が悪かったようだ。
「どけくりこかすど、きさん!!」
普段温厚なヤツがキレると、始末が悪い。今にも暴れださんばかりの伊野倉を羽交い絞めにして、叫ぶ亜衣。
「カキ氷!あんみつ!杏仁豆腐…アイスクリーム!プリンパフェ!おいしかったよね?」
冷たい食べ物の名前をあげ連ねるたびに、伊野倉の形相が普段のゆるい顔にもどっていった。(なにやらこの二人の仲にも、進展があった模様。)切れた回路が元に戻った伊野倉はさておいて、切れっぱなしの末、修復するはずの回路が一向につながる気配のないのは、雄平の方である。恐らくここ何ヶ月かの間に、切れかけたのを無理につなぎ、結び、を繰り返していたため、修復機能がバカになっているものと思われた。
「何かが、違う……。」
「何か言うたと?」
「……言うたも言うた。こんなん、どう考えたっておかしいでないか!」
――他人はそれを、【堪忍袋の緒】と呼ぶ。
ムチをふるう亜衣までもが手を止めて、理性という安全装置の外れたリーダーを見つめた。
「俺ら、正義の味方と違うんか?正義の味方は、悪いやつやっつけたらええだけなんか?」
「どうかしましたか。」
神野が心配そうに、雄平の瞳の中をのぞきこんだ。極度の緊張のせいで、心に異常をきたしたならば、そこに狂気の兆しがあるかもしれないと考えたからだった。しかし。
瞳の奥は、とことん澄み切っていた。十年に一度、あるかないか、というくらいの絶好調をひきおこす嵐が、今まさに雄平の脳みその中を吹き荒れていたのだ。嵐は、いつも眠っている脳細胞まで活性化させ、正義の心に火をつけた。
「俺、話しに行きます。本気で話したら、きっとわかってくれるはずや!」
「それでも、わかってくれんかったらどうする気や?」
いつも強気の緑川までもが、不安そうにそう言った。しかし、ゲームで言うなら敵に体当たりされても大丈夫な【無敵】状態の雄平には、不安要素のかけらもない。
「大丈夫、ナントカなるさっ!」
影のリーダー亜衣は、いち早く雄平の状態を見抜いたようだ。
「よし、行こう!…みんなもええな?めんどいことはさっさと終わらして、すっきり解散するで!」
「おうっ!」
土壇場で不思議な団結を見せたサヌキレンジャーたち。
そして、物語はクライマックスへ――。
続く .........。
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